防食用塗料を塗装する際に、どこまでの性能を求めるかで塗装工程が変わります。防食用の塗装工程は前処理、工場塗装、現場塗装とに分かれています。また、現場塗装では新築なのか塗替えなのかでも塗装工程が変わります。工場塗装の場合の多くがジンクリッチペイントと呼ばれる亜鉛の粉末が入っている塗料を塗装します。これは、電気陰性度を利用し、鉄に塗装することで鉄よりも錆びやすい亜鉛を塗装することで鉄がさびにくくなり、身代わりになってくれます。何らかの不具合により錆びやすい原因が鉄の部分に来てしまってもその原因から守ってくれます。その後、搬入先の現場で組み立てられ塗装します。そこで、使用する塗料にもよりますが、下塗、中塗、上塗となります。
塗料の種類ですが、基本的に前処理用、下塗用、中塗用、上塗用と分かれており、前処理用と下塗用は防錆力を高めて錆から守るものです。ジンクリッチペイントはもちろん、防錆剤の入った塗料で、厚く塗ることが出来るものが多いです。塗料はミクロン(1000分の1mm=μm)の世界で保護しますが、通常だと60ミクロンですが、その倍の120ミクロンや300ミクロンもの厚みを付けられるものもあります。錆止めの考え方は厚ければ厚いほど錆の原因となる水の侵入や空気の侵入を防ぎやすくリスクも低くなるので、厚く塗るのが基本となっていますが、その分、予算が掛かってしまったり塗装工程数が増えてしまったり、特殊な塗装方法が必要になるなどのデメリットもある為、用途に合わせて様々な種類があります。最近では、変性エポキシ樹脂塗料が主流となっており、この樹脂は密着力が高く、防錆力も高く、更に耐水性もあります。また、幅広く用途に合わせた性能を持ったものが多く設定されています。
中塗用と上塗用は、下塗の多くが紫外線に弱いため、それから保護するために用いられますが、下塗用など程ではありませんが厚く塗れるものがあります。また、耐候性が高い樹脂で作られており、ウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料が多く使われています。
特殊な塗料としては、タール成分を含んだタールエポキシ樹脂塗料で、タール成分で防錆力が非常に高い塗料ですが、色が黒と茶しかなく、次に塗替えの時に同じものしか塗り重ねることが出来ません。ここ最近では環境対応としてタール成分を含まず別の成分で代替したものに切り替わってきています。その為、色も薄い色に限りますが指定の色に調色できるものが出てきています。
最近では、環境への配慮が進んできているため水性化が進んでおり、水性塗料でもほぼ同等の性能を発揮できるものも作られてきています。
また、樹脂によって性能が違いますが、膜厚や防錆力・耐候性によって塗装仕様が変わりますが、塗装部位によっては特殊な塗装工程や特殊な塗料が使われることがあります。
例としては、煙突や焼却炉等は常温から高温、また、部位によっても温度が違うためそれぞれに合わせた耐熱塗料を塗装します。
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